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北崎通信局

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みかんと山下惣一つぁん

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農民作家の山下惣一つぁんにお会いしました。
一般公開の講演会ではなく、JA福岡市の今津、今宿、元岡、周船寺、北崎の
資産管理部会合同の講演会。

文章とお名前は馴染み深いのですが、まだ一度もお目にかかったことがあり
ませんでした。

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会場は、満期になると北崎みかん2kgがもらえる〈みかんちゃん積金〉の
企画をしているJA福岡市元岡支店!
なんともほのぼのした商品ではないですか(笑
そうです、今春から組長の職場です。
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講演内容は、農業問題のポイントをついたタイムリーなお話です。
もっと一般の人に聞いてもらいたかったなぁと・・・
資産管理部会ですので、大半が開発で農地を売り払った人が多いのかな?
ある意味、豊かな人たちばかり。
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いつもの惣一つぁんの著述と変らない切り口で、安心して聞けました。

佐賀の唐津で農家の長男に生まれた惣一つぁんの家も、みかん農家だった
のですが、ご多分に漏れず苦労するはめに・・・
夫婦と両親の4人で働いていたうちは、米、みかん、たばこと作っていたそう
ですが、両親が亡くなった後は奥さんが身体を壊すか自分がだめになるかで
規模を縮小したのだそうです。


耕作面積が少ない地域も開発の波に飲まれます。

開発でお金を手に入れた農家のその後


  女で家庭崩壊

  遺産相続でもめる

  病気、糖尿病か痛風


そしてその土地に残ったものは、原発、産廃、そして特別老人ホーム


面白おかしく話はすすみます。
時にはブーと音を消さなければならないような話も織り交ぜて(笑
多分そのほうが、聴衆の受けがいいんだろうな~



とてもわかりやすく話してくれたのは、農と業の違いです。

みんな農業を一くくりで考えているが全く別物なんだということ。

農業で9割が〈農〉で、1割が〈業〉
農の部分は将来につながる仕事、それを農家は「良か仕事」といって
いるのだと・・

しかし、1割の「業」の部分しか評価しなかったことが問題だったと!

金にならない仕事はほったらかしになってしまう

農家を守るということは先祖や残された財産を大切にすることで、
農業はそれを守るための手段であるにもかかわらず、手段を目的と
させたことが大きな問題なんだと。

その一族の根っこ(拠点)の部分をなくしてしまい、根無し草になって
しまっているとも・・・


環境悪化や歪んだ農業政策によって起きている、現在の農業問題、
食糧問題は決して農家の問題ではないことを強調する惣一つぁん。

それはそうだ!食料が値上がりしようが、入って来なかろうが、生産
手段をもつ農家は食べるにはほとんど影響が無い。

生産手段を持たない生活者の問題だということを、ほとんどの人が
気づいていないんだなぁ。


これからの農業は環境を主張しないと生き残っていけないと断言して
いた。
本当にそう思う。

私も環境を悪化させた大きな原因は工業だけでは決してないことを
知っている。

病人が増えていることも、食べ物が原因することも、これまでの農業が
元凶になっているということも・・・


フードマイレージ
ヴァーチャルウォーター
過剰窒素

惣一つぁんはこの3つのことをしっかりと訴えたかったのだろうが、聴衆の
顔色を見てさらっと流した。
年配の方が多く、すでに現役ではない人が大半だから仕方ないのかな

ぜひ農家の担い手に聞いて欲しい話だった。

私にとっては切実な問題で、聞きたいことがたくさんあったのだけど・・・



盛りだくさんの話で、これまでの著述のダイジェスト版という感じで、あっと
いうまに時間が来てしまった。

最後に質疑応答


思い切って手を上げた


どうしても農業政策の現場に近いだろう講師に聞きたかったこと


「過剰窒素の話が出ましたが、農薬の規制はここ数年厳しくなって改善
してきていますが、農産物の硝酸態窒素対策はどうなっていますか?
私はここ6,7年、季節外れの葉物は食べていません。

生産の側は問題だということがわかっているけれども、生活者のほとん
どはそのことを知らないでしょ?

有機認証やトレーサビリティのように、農産物の硝酸態窒素のデータを
農産物ごとに売り場に表示するということはやはりまだ難しいですか?」



講師はしばらく口をつぐんだ

私はその時間がとても切なかった。
だからうつむいてしまった。
諦めとわずかばかりの期待が交差する


半分苦笑い。
そしてしばらくして口を開いた惣一つぁん


「そのことを公表するということはこれからも無いでしょうね・・・・
こんな回答しかできなくてごめんなさい」


やっぱりそうなんだよね、このまま隠したままなんだよね。

農地のダイオキシンの問題や汚染された水の問題も


私はやりきれなくて涙が出そうになった。


経営効率、そして〈業〉優先

人の命を支える食べ物ではなく商品を作ることのみ追いかけた
大きなツケ

フードマイレージという数値に置き換えてみると、現在の私たちの
おかれた危険な状況が手に取るようにわかるのだ・・・


金、金、金・・と、命や健康を引き換えてしまったツケなんだ


講演が終わって、控え室で少しだけお話をさせていただいた。



「小さな動きしかやっていませんが」という私に、「大きい必要は
無いんです。これからは小さなところから変わって行き、そこに
大きなところが付いて来ることになるんだから・・・」

少し希望が見えてきた。

こうして声に出していこう。





健康には多くの野菜の摂取が必要とされている。
その野菜の生産地で疫学的に見て野菜の生産からと考えられる食害が
西日本の各地で点在している。

これまで農業生産地では肥料の窒素過多はたびたび問題化されてきた。
しかし、正確にどのような環境の悪化や人体への症例として、窒素成分が
人体にに影響しているのか、医学的に判断するデータが取られてこなかっ
た。

日本人の高齢化は、多くの生活習慣病が増加している。
糖尿病もその一つである。現在、日本人の糖尿病患者数は約600万人
以上と言われており、糖尿病の症例の悪化による慢性透析の患者数は
急増し年間1万人以上とされている。

慢性透析患者数の半数以上が糖尿病の悪化が原因とされており、すでに
その対策は大きな社会問題となっている。

慢性透析の全国県別人口の疾患比率は熊本県が一番で、次は宮崎、大分、
徳島がとくに高く、その下に鹿児島、和歌山、福岡、沖縄、高知等となって
おり全国的に見て施設園芸面積の多い地域に集中している。

反対に少ない地域は東日本や日本海側の水稲地域である。農業の生産
環境と栽培されている施設園芸の野菜に正確な因果関係が存在している
と疫学的に判断できる。

農業生産の効率化の追求は、野菜生産では促成栽培として西南団地を
中心に昭和40年代から急速に普及されてきた。

スーパーマーケットにおいて販売されている野菜の多くは、促成栽培の
野菜であり、化学肥料が使用されていなければ、有機農産物の表示対
象にも該当している。

最近の傾向として促成栽培の野菜の多くには窒素成分から吸収される
硝酸塩濃度は3、000mg/kg以上の含有量を示しており、水分を除か
れたなかでは最大の含有量を示している。

促成栽培の野菜の多くは通常栽培期間の1/3以下で栽培されている
野菜である。

WHOにおける水道水の水質基準では硝酸塩濃度は10mg/Lである。
日本においても同様の基準を水質基準としている。野菜だけが高濃度の
硝酸塩のまま報知され、健康に野菜が重要とし、摂取を勧めることが正
しい医学的見地なのかを問う必要がある。

農産物の市場競争原則は国際的な視点である。しかし、競争には一定の
原則が必要であり、農業から派生する地球環境と人類の基礎的な人権、
健康的な生活の維持は基本原則である。

農業の効率化から開発され推進された施設園芸は結果的に生産者自身
の健康を脅かし、消費者にも正確に影響が見え始めている。

農業生産の国民的理解は極めて希薄であり、現実は厳しい生産を強いら
れている。

2000年4月、有機農業の認証制度がスタートする。しかし、有機農業の
生産指導的制度はどこにも存在していない。

慢性透析の疾患に要する医療費と第一級身体障害者として国家が用して
いる費用は一人、約1000万円である。すでに毎年、年間2兆円の国費が
投下され、今後はうなぎ上りに増加する傾向が見られる。何よりも、慢性
透析の疾患は患者の生活そのものが悲劇であり、余命には一定の限界
のある疾患である。

疫学的には原因がすでに明確であり、さらに国家が正確に医学的に分析し
、早急な患者への救済と農業政策の見直しは欠かせない。

なお、この問題は社会的に大きく、京都大学、大学院教授、人間、環境学
研究科「家森幸男」先生に資料を提出し詳細を説明した。

その結果、社会的問題の大きさから早急に確専門分野別に研究チームを
作る必要性を示唆された。

また同時に一日も早い時期に何らかの学会の発表を始めとして国民に
警告をする必要がある、としている。
by hanataikoku | 2007-11-11 17:45 | 〈食〉について考えてみる